※本記事は最終話までのネタバレを含みます。
韓国ドラマ「交渉の技術」(原題:협상의 기술)は、2025年3月8日から4月13日までJTBCの土日ドラマ枠で放送された、全12話のオフィスドラマです。演出は「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」などで知られるアン・パンソク監督、脚本はイ・スンヨンさんが担当しました。原作のないオリジナル脚本です。
主人公は、白髪がトレードマークのM&A専門家ユン・ジュノ(イ・ジェフン)。11兆ウォンもの負債を抱え、不渡り寸前のサンイングループに呼び戻されたジュノが、弁護士オ・スニョン(キム・デミョン)、クァク・ミンジョン(アン・ヒョンホ)、インターンのチェ・ジンス(チャ・ガンユン)とM&Aチームを結成します。そして、系列会社の売却や買収を次々と成功させていく物語です。
見どころは、おおむね2話ごとに新しい交渉案件が描かれる構成です。相手の「本音」や「プライド」を読んで合意を引き出す交渉劇に加えて、会長ソン・ジェシク(ソン・ドンイル)や、次期会長の座を狙う専務ハ・テス(チャン・ヒョンソン)との社内の権力争いも描かれます。物語の縦軸になっているのは、ジュノが帰国した本当の理由である「ジャンボ製薬」の株価操作事件の謎です。
視聴率は初回の全国3.3%から右肩上がりに伸び、最終回では自己最高の10.3%(ニールセン・コリア、全国)を記録しました。日本ではKNTVで放送されたほか(全24話の編成)、LeminoやU-NEXTなどでも配信されています。
それでは、「交渉の技術」のあらすじを1話から最終回まで、ネタバレありで紹介します。

「交渉の技術」あらすじ 1話
サンイングループは、メインバンクに融資の満期延長を断られます。11兆ウォンを調達できなければ、グループは不渡りになってしまいます。会長ソン・ジェシク(ソン・ドンイル)の呼び出しを受け、海外にいた伝説のM&A専門家ユン・ジュノ(イ・ジェフン)が本社に戻ってきました。
グループのナンバー2でCFOのハ・テス専務(チャン・ヒョンソン)は、かつての部下であるジュノの復帰に猛反発します。それでもジュノは、弁護士のオ・スニョン(キム・デミョン)とクァク・ミンジョン(アン・ヒョンホ)をチームに選びます。さらに、自ら志願してきたインターンのチェ・ジンス(チャ・ガンユン)を加え、M&Aチームを立ち上げました。
役員会議に出たジュノは、グループの中核企業であるサンイン建設を売却すると宣言し、役員たちを驚かせます。テスは、自分を追い落とすための策略だと怒りをあらわにしました。
一方、サンイン建設を自分が最初に作った会社だと考えるジェシクは、10兆ウォン以上での売却を要求します。ジュノは、相場とかけ離れた金額に難色を示します。しかしジェシクに「自信がないのか」と迫られ、無理な条件を突きつけられてしまいます。
「交渉の技術」あらすじ 2話
ジュノはサンイン建設の企業価値を評価し、入札の準備を進めます。しかしサンイン建設の代表イ・フンミン(ユン・ジェムン)はテス側の人間で、交渉中に激しい言葉がぶつかり合い、話し合いは決裂寸前になってしまいました。
さらに、M&Aチームが見つけた隠れたリスクは、再建築が止まったままのチュンニョルアパートでした。住民のソ・チュンニョン(キム・ヨンオク)が、強く反対し続けていたのです。ジュノは、アパートの裏手にある墓のためにチュンニョンがその土地を離れられないという事情を突き止めます。
そんな中、入札ではビウムD&Iが予想を上回る7兆9000億ウォンを提示します。ジュノはチュンニョンの同意を取りつけ、墓を故郷へ移すという条件を用意しました。そのうえで、アパート問題を解決する代わりに価格を上乗せするようビウムD&Iに迫り、最終的に8兆5000億ウォンでの売却を成立させます。
売却を終えたジュノは、ジェシクに「次は買います」と宣言します。
「交渉の技術」あらすじ 3話
ジュノは、サンイングループの弱点だったEコマース分野に進出すると発表します。目を付けたのは、配送管理のシステムを持つゲーム「宅配王」を開発した、倒産寸前のチャチャゲームズでした。しかし、代表のチャ・ホジン(チャン・インソプ)はピボット(事業転換)の提案をその場で突っぱねます。
チームは、ホジンが人気ゲーム「ハイスクエア」を作ったDCゲームズのド・ハンチョル代表と訴訟中であることを知ります。ジュノは、相手のプライドを守り、自分で決めさせることが大切だとチームに説きました。
そんな中、ハンチョルがサンインとの提携をにおわせる写真をSNSに投稿し、ホジン側を揺さぶります。それでもホジンは100億ウォンでの売却を申し出て、自社の技術力を示すために「宅配王」のバックエンドを送ってきました。テスもこの買収を承認し、ジェシクの決裁も下ります。
ところが契約直前、ホジンから「他社が2倍の金額を出すと言っているので契約できない」と電話が入ります。
「交渉の技術」あらすじ 4話
ジュノは、誰かが意図的に契約を妨害していると考えて調べ始めます。その結果、チャチャゲームズに2倍の金額を提示したのはサモエル・ファンドで、背後にはテスがいることが分かりました。
一方、ジンスは自分の不用意な発言が情報漏えいにつながったと気づき、挽回しようと奔走します。
その頃、M&Aチームは「宅配王」と「ハイスクエア」に同じイースターエッグが隠されていることを見つけます。そこから、2つのゲームの開発者が同じであることと、ホジンとハンチョルの因縁の正体を突き止めました。
ジュノはジンスを使い、テス側のスパイだった人事部のイム・ヒョンソプ(イ・ギュソン)に「チャチャゲームズは事業を諦める」という偽の情報を流させます。チャチャゲームズの価値が下がったと判断したサモエル・ファンドは、契約を白紙に戻しました。さらにスニョンはハンチョルと一対一で向き合い、ゲーム盗用問題の示談として開発支援金を出させるなど、ホジンに有利な形で話をまとめます。
こうしてサンインは、当初より安い費用でチャチャゲームズの買収に成功します。しかしその直後、サンイングループの株価が急落し、新たな危機が迫ります。
「交渉の技術」あらすじ 5話
サンイングループの経営危機説が報道され、株価が暴落します。株価を守るために、ジュノは業績が落ち込んでいる自転車ブランド「ウインド」を上場させなければなりません。そのためには、カーボンフレームを使ったモデルの価格を、他社のアルミ製自転車並みに下げる必要がありました。
ギアの部品を安く大量に確保するため、ジュノとM&Aチームは日本の部品メーカー・シミズの本社へ交渉に向かいます。シミズ側は割引率を低く抑えたまま、できるだけ早く契約をまとめようとしてきます。
そんな中、ジンスがシミズの末っ子社員ヒロセ・ハルカ(宮内ひとみ)に、うっかり帰国の日付を話してしまいます。チームの交渉期限(デッドライン)が相手に知られてしまったのです。
シミズはわざと観光に連れ出して時間を稼ぎ、M&Aチームは追い詰められていきます。
「交渉の技術」あらすじ 6話
デッドラインが迫る中、ジンスはヒロセと「末っ子同士」で親しくなり、シミズの内部事情を聞き出します。シミズの交渉担当者たちは、実績を上げて東京本社へ異動したいと考えていました。
相手の本当の狙いが「実績」だと分かったジュノは、シミズの実績になるように契約金を先払いする代わりに、部品を安く大量に確保するという条件を提示し、合意を取りつけます。
ところが契約直前、生産工場長のナイトウ(青木崇高)が突然反対し、契約は白紙に戻ってしまいます。ジュノは、工場に掲げられた「温故知新」の額と、契約書にあったウインド代表パク・レギョン(キム・チャンワン)の名前から理由に気づきます。ナイトウは、レギョンが父の会社「ダイチ」を買収したせいで会社が潰れ、父の技術も軽んじられたと誤解していたのです。
ジュノは、買収当時の写真とレギョンの直筆の手紙をナイトウに届け、誤解を解きます。こうして、サンインに有利な条件で再契約を結ぶことに成功しました。
一方、帰国したチームには、ジェシクが株式を担保に借りた融資の返済問題という新たな危機が待っていました。
「交渉の技術」あらすじ 7話
ジェシクは株式を担保に500億ウォンを借りていましたが、返済期限が29日後に迫っていました。ジュノは、その資金で購入されたリゾートの売却を提案します。しかしジェシクは「絶対に触れてはいけない」と強く拒みます。そして、テスにも別の解決策を探させ、2人を競わせました。
いつもジュノの味方だったイ・ドンジュン常務(オ・マンソク)も、今回は売却に反対します。ジュノが調べると、そのリゾートは済州島の「ダドリゾート」で、実際の所有者はジェシクの遅くに生まれた娘ソン・ジオ(クォン・ユリ)でした。
M&Aチームは会社に内緒で済州島へ現地調査に向かいます。スニョン、ミンジョン、ジンスは、相手がリゾートの代表だとは知らないままジオと親しくなりました。特に、隣の部屋に泊まっているミンジョンには、ジオのほうから近づいてきます。
しかし、ジュノがジオを「代表」と呼んだことで、その場の空気が一変します。ジオはリゾートを売るつもりはないと、きっぱり言い切りました。借金と利息を返すには、ダドリゾートを550億ウォンで売らなければなりません。
「交渉の技術」あらすじ 8話
ジオは改めて売却を拒否します。ジュノは、過去にドルフィンホテルとの買収交渉が決裂していたことを知り、もう一度ホテル側に接触しました。
そんな中、M&Aチームがリゾートを訪れたことを知ったジェシクが倒れ、病院に運ばれます。リゾートを手放せない本当の理由は、ジオががんの再発を抱えながら手術を拒み、リゾートに強い愛着を持っていることでした。
一方、ドンジュンはサンインがリゾートを買い取る案を出します。しかしジュノは、すでに贈与された資産なので背任や不正な贈与にあたると反対しました。
ジオの決意が変わらないため、M&Aチームは売却を諦めてソウルに戻ります。去り際に、ミンジョンは心を込めた手紙と契約書を残していきました。
その後、ジュノが辞表を出しに会長室を訪れていたまさにその時、ジオからジェシクに電話がかかってきます。ジオは、リゾートを売ってほしいと伝え、手術を受けると打ち明けました。契約書には「123号室をジオに無償で永久に貸す。ただしジオが亡くなった場合は無効」という特約が入っていました。ジオは「無効になることはない」と生きる決意を示します。
恩を感じたジェシクは、ジュノに役員の座を提案しました。
「交渉の技術」あらすじ 9話
ジュノは、ジェシクの役員の誘いを「登記役員にしてほしい」という条件付きで受け入れます。ジェシクが試験として与えたのは、忠清北道にあるゴルフ場「グリーンビューCC」の売却でした。そこはスニョンの故郷でもありました。
ジュノはチャン先輩(イ・ソンジェ)に役員になることを伝えます。しかし、会社に残るつもりはないと本心も明かしました。
ところが、匿名の買収者として現れたのは、サンイン建設の売却後に海外ファンドへ移ったイ・フンミンでした。しかも、テスまで一緒にいます。フンミンは代表の交代と職員の引き継ぎを条件にしたうえで、実態調査でも難癖をつけてきます。
一方、売却の準備を進めていたミンジョンは、ゴルフ場の使用履歴と入出金の記録が合わないことに気づきます。用途不明のまま現金1億ウォンが引き出されていたのです。出金の権限は、代表のほかに、スニョンの旧友で財務担当のチョン・ボンジュ(チャン・ソヨン)にもありました。
「交渉の技術」あらすじ 10話
M&Aチームは、消えた資金の行方を追います。お金が引き出された口座には、キャディたちが預けた預り金が集められていました。ボンジュは、キャディへの示談金として1億ウォンを引き出したと打ち明けます。そのうえ、代表のイ・ヒョンテクが10億ウォンを横領していた事実も明らかになりました。
チームはヒョンテクから自白を引き出しますが、今度はフンミンが職員全員の解雇を要求してきます。その裏には、ゴルフ場の跡地にマンションを建て、5年間の同業禁止期間が明けたら建設業に戻ろうというジェシクの野心がありました。フンミンは、そのために表に立てられた買い手だったのです。
ジュノは、サンイン建設を買ったビウムD&Iのチ・ヨヌ代表(イ・チェウォン)にこの事実を伝えます。ヨヌは、ジェシクが通う山にわざわざ現れ、彼と顔を合わせます。計画を見抜かれたと悟ったジェシクは建設業への復帰を諦め、ゴルフ場の売却も中止させました。その代わり、ジュノへの役員の提案も取り消されてしまいます。
そんな中、監査室に投書が届きます。ジュノはジャンボ製薬株の未公開情報を使って取引した疑いで、監査を受けることになりました。
「交渉の技術」あらすじ 11話
監査を担当する人事総務チームのチョ・ボムス理事(キム・ジョンテ)は、ジュノのチームを調べ始めます。ジュノは過去を振り返ります。3年前、上司のテスから、ジャンボ製薬のADHD治療薬事業や国策事業に選ばれる見込みなどを聞かされていました。
しかし実態を調べると、ジャンボ製薬の治療薬は、アメリカの製薬会社の製品をパッケージだけ替えて売っていたものでした。さらにジュノは、テスとジャンボ製薬代表コ・ビョンス(パク・ヒョックォン)の電話を偶然耳にします。テスはリベートを受け取る約束をしており、株価操作の話にも迷っていました。
一方、ビョンスはジュノの兄ユン・ジュソク(ホン・イン)に、サンインの投資が発表されれば株価が大きく上がると吹き込みます。ジュソクは現金は受け取りませんでしたが、ジャンボ製薬の株を買っていました。
懲戒委員会の委員長はテスでした。テスは、兄が投資の情報を知っていたのではないかとジュノを問い詰め、ジュノはそれを認めます。さらに当時1億ウォン相当のジャンボ株を持っていたと明かすジュノに、テスは「解雇で決着をつける」と言い渡しました。ジュノは「同意できません」と真っ向から対立します。
「交渉の技術」あらすじ 12話(最終回)
懲戒委員会が続く中、ジュノのチームとチャン先輩(イ・ソンジェ)は、ジャンボ製薬の株価操作に関わった人物の取引記録が入ったノートパソコンを手に入れます。そこにはテスの株取引の記録が残っていました。
テスは、自分こそジャンボ製薬の買収を止めた人間だと潔白を主張し、証拠を出せとジュノに迫ります。そこで突きつけられたのは、テスがジャンボ株5万株を買い、わずか27分後にすべて売り払っていた記録でした。そして、テスが手放したその株を買ったのが、ジュノの兄ジュソクでした。サンインの「ジャンボ製薬には投資しない」という報道で株価が暴落し、ジュソクは株を売れずに追い詰められていったのです。兄の死の真相を明らかにしたジュノは、株を持っていたことだけで罪になるとテスを追及します。
報告を受けたジェシクは、テスを退職金なしで解雇しました。監査室への投書から始まった懲戒委員会そのものが、テスを追い詰めるためのジュノの作戦だったことも明らかになります。
しかし来年度の事業計画の発表の場に、テスがサモエル・ファンドの新しい理事として姿を現し、ジュノを挑発します。続編を思わせる余韻を残して幕を閉じました。
